建築研究所は
安心・安全で持続可能な住宅、建築、都市の実現に向けた研究を行う国立研究所で、
所長の坂本雄三先生は東京大学の名誉教授であり、
一次消費エネルギー算定プログラムを作った博士です。
本日は建築研究所を視察し、
行われている昨今の研究を坂本先生にご紹介いただきました。
L(ライフ)C(サイクル)C(カーボン)M(マイナス)デモンストレーション棟
東日本大震災の直前に完成したこの実験棟は、
Q値1.9W/m2・Kと今から比較すると高い水準ではありませんが、
製材、運搬、建設、暮らし、メンテ、そして解体までに発生するCO2をなるべく小さくなるように
最大限工夫されて作られた未だに画期的な建物です。
コンクリートは製造時のCO2発生量が莫大ですので、
高炉セメントをコンクリートに用いたり、基礎形状が少ししょぼかったりします。
パッシブ的な工夫として目立つのは、
冬期日射取得を考慮した南側ファサード、
夏と冬で衣替えできるダブルスキンのルーバー、
片流れの屋根に太陽光パネル・太陽熱温水パネルを用いた
当時の住宅では先進的な仕掛けが盛りだくさんで面白かったです。
パッシブ仕掛けの省エネと、
太陽による創エネで建設時に発生したCO2を削減量の効果測定を行う目的で、
材料や工法・施工の検討、住環境調査が現在も計測が行われています。
2×4 6階建て住居
CO2削減の手段としての木材利用。
日本では戦後に植えられたスギ林が、
樹齢30~40年を迎え、野林となり手つかずのまま。
野林に手を付けず、
材木を海外から買っているというおかしな現象になってしまっていますが、
これら国産材を有効活用ようと多くの団体、企業が徐々に開発しています。
建築研究所でも建材として有効活用しようという研究を行っています。
ツーバイの国、カナダではすでに16階建ての木造ビルが建設されていると言います。
この実験棟では、木造建築の高層化による構造の安全性と、
防火の仕様づくり、避難安全性など検討を行っています。
CLT実験棟
CLTとは、
C(クロス)L(ラミネート)T(ティンバー)の略語
厚さ20mm程度の集成材を繊維方向が互い違いになるように
5~6枚重ね合わせて1つのパネルにします。
そのパネルを床、天井、壁といったパーツに工場であらかじめ作り、
トラックに乗っけて現場へ搬入すると、
あっという間に家の形が出来上がってしまうというもの。
ヨーロッパでは個人住宅のみならず商業ビルなどにも使われ、
すでに普及しています。
CLTパネルの良さは、
防火性能に優れ、
断熱性に優れるという点だと思います。
施工は建て方次第ですが、
結構面が不揃いになっているところもありました。
製材している工場は日本国内に二か所あるようです。
問題は運搬ですが、
1つのCLTパネルはトラックに入る大きさに切り分ける必要があるので、
W:2,200くらいが限度でしょうか。。。と坂本先生。
また、海外のCLT建築の構造でも100%CLTでつくっている例は稀で、
海外の建築基準法上、エレベーターシャフトなどの縦穴はRCで作るようです。
国産材普及の道のりとしての建材利用方法をたくさん学びました!
これから十分に日本の建築が昇華するような期待感につつまれた一日でした。
エアラボ ウスイタツヒコ
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