高気密住宅にて換気計画を立てる際のポイントは、
まず、パワーバランスにあります。
住宅では、
24時間換気の他、
キッチン(レンジフード)、トイレ、浴室ユニットバスなど
様々な換気設備が多数混在します。
居室を対象とした「24時間換気」とは対照的に、
局所(スポット)的に使用する換気設備の事を、
「局所換気(設備)」と言います。
例えば、住宅での局所換気は、
キッチン(レンジフード)、トイレ、浴室ユニットバス、洗面脱衣室、SIC、WICなどの
火気使用中の排ガスの他に、
臭いや、大量に水蒸気が発生する(湿気の籠る)ような場所に
それらを排出する目的で使用されています。
局所換気にも注目!
24時間換気の換気計算には、
これらの局所換気は含まれないため、
あまり注目されることが少ないのですが、
24時間換気設備とは別で設置される局所換気設備は、
当然、稼動中は24時間換気設備の換気に影響を及ぼします。
そして、
24時間換気の効率を完全に阻害することなく
局所換気を自由に動かす換気計画を立てる事はほぼ不可能ですが、
これから説明するポイントを押さえておけば、
出来る限り、24時間換気の性能を活かせる換気計画を立てることができます。
ファンの種類を押さえる!
住宅で使われるファンの種類は、主に以下の2種類あります。
*( )内は良く使用されるパイプ呼び径です。
シロッコファン
よく使用される場所:レンジフード(φ150)・浴室換気・バス乾(φ100)・ダクト一種・ダクト三種(φ100・φ150)
プロペラファン
よく使用される場所:ダクトレス一種(φ100・φ150)・トイレ(φ100)・洗面(φ100)
一般的に、プロペラファンはシロッコファンに比べて
「静圧」が低いとされています。
「静圧」は、換気でいう「パワー」(肺活量)として覚えておくと良いと思います。
そこで、先ほどのファンの種類と、パイプ呼び径(φ数)で
おおよそ静圧の相場が決まっています。
φ100プロペラファン 10Pa程度
φ100シロッコファン 50Pa程度
φ150プロペラファン 30Pa程度
φ150シロッコファン 150Pa程度
単位:【Pa】パスカル
プロペラファンはシロッコファンの1/5程度しかないため、
φ150のレンジフードがいかに強い換気設備かがイメージできると思います。
レンジフードが家の中で運転しているうちは、
レンジフードの一人勝ち状態であり、
他の換気設備は負けてしまいます。=負圧(ふあつ)
排気する力が強く、給気がそれに伴わない状況を「負圧」といいます。
この「負圧」をどうにかしないと、
熱交換効率の低下や、他の換気設備の換気効率の低下を招いてしまいます。
では、どうしたら良いか?
住宅では、プロペラファンとシロッコファンが混在しますので、
「負圧になりにくい換気計画」や、「局所換気の使い方」が非常に重要になってくるのです。
つづきは次回にて
エアラボ 臼井達彦
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